インクライン
2024.09.01 (日)

インクライン2024.9月号を掲載しました。

開始日:2024.09.01 (日)

巻頭言 暑くて熱い博多の2日間

§1『自分史上一書きづらい原稿』

毎年この時期に開催するのでいつも『 暑い』のは当たり前なのですがそれに加えてこれまたいつものことですが内容が濃くてそれはそれは『熱い』2日間となりました。

本来であればこの誌面をお借りしてその『 熱量』を伝えるべき役目を背負ってるのですがとてもじゃないですが無理です。であればせめて概要と空気感だけでもこの原稿から感じていただ
けたら幸いです。そしてProFITにアップされている3つの動画を少し日にちをあけて各々3回は視聴されることを強くお勧めいたします。

§2『坂本全国会会長基調講演』

会計事務所の経営革新-月次巡回監査がすべての基本-

約90分の講演でした。以下レジュメの目次に従って報告いたします。

I 我々を取り巻く環境変化

大学生の意識調査も踏まえて近年の雇用(採用や維持)環境の悪化、社会からのDX化の要請と対応、法制度の変化等を図表を使用してわかりやすく解説していただきました。そしてこれらの結果税理士の4大業務遂行の基盤である『月次巡回監査業務崩壊』の兆しが見えたことが明白になりました。

II 会計事務所の経営革新

「結論から先に言うと会計事務所の経営革新は所長の意識改革である」とのことでした。そしてそれを前提としてイノベーション(新結合)絶対不可欠であると重ねてお話されました。イノベーションはゼロから新しい何かを創るのではなく従来から存在するモノやコトを組み合わせることであると馬車と蒸気機関車をたとえに教えていただきました。税理士の4大業務の同時提供は明らかに現代社会のイノベーションであると言えます。

III 税理士の4大業務

用語の説明はせずその代わり講演で紹介いただいた金言を2つ紹介いたします。

『 秩 序(=複 式 簿 記 )が経 営 感 覚を鍛える』(ヴェルナー・ゾンバルト)

『会計はすべての企業の、過去に関する間違いのない裁判官であり、現在に関する必要な指導者であり、未来に関する信頼すべき助言者である』(ヨハンフリードリッヒシェア)

もちろん会計自体が口頭で助言をすることはないので我々職業会計人がその会計データを汲み取って助言をするということになります。

IV 巡回監査

上述のとおり現代社会のイノベーションである税理士の4大業務の同時提供。その基本となるのはやはり『TKCシステムをフル活用した月次巡回監査』です。そしてその巡回監査は顧問先に対する深い愛情の元、ときに企業経営者の心にベルトをかけ満足と感謝をいただく坂本全国会会長が仰る『感動を呼ぶ巡回監査』でないといけません。

§3『正副会長会報告』及び『会計事務所の経営革新』

紙面の関係で割愛しますが佐藤全国会副会長と原田伸宏先生の報告動画を視聴願います。

§4『結びにかえて』

全国役員大会に出席するたびに必ず感情が沸き上がります。それは『よくもまぁこの仕事を選んだものだ。我ながら鼻が利いてたなぁ』という自己満足感と『道半ばどころかまだまだ麓。生きてるうちにやらないといけないことだらけだ。急がねば!』という使命感と焦燥感からくる非常に高ぶった感情です。TKCという言葉がまだまだ世間に知られていない時代に道を切り開いていただいた先達の会員先生方に深く感謝すると同時に、今後血縁的集団として後輩会員や新規会員に恥じぬよう残された人生の生きざまを改めて模索したいと思っています。

『人生は一回限り』なのでほんの少しの悔いもなきように。

会員から会員へ 働き方改革

ワークエンゲージメントの向上 洛西支部 八十八 哲司

ブラック企業への入社(就職氷河期世代)

私が新社会人として就職したのは西田幸二税理士事務所(長岡京税理士法人の前身)で当時の初任給は17万円・残業代なし・交通費一律5千円(全く足りませんでした)・有給休暇の代わりにフリー休暇というものが年2日(翌年に繰り越しません)という労働条件でした。今から約30年前のこととはいえ、ブラック企業の典型でした。
当時の西田所長にしてみれば、“勉強させてやっている”という気持ちだったのでしょうか。

ある後輩が、ハーレーダビッドソンで通勤しており、ユーザー車検に行きたいのでフリー休暇を申請したところ「フリー休暇はそんな事に使うためのものじゃない!」と激怒されていました。一体どういう時に使えるのか今でも謎ですが・・・。

「働き方改革」という言葉が定着して久しい昨今では、ありえない労働条件ですよね。

実際はホワイト企業だった

そんな条件でも辞めずに続けられたのは、活気や一 体 感・前 向きな風 土のある事 務 所だったからです。今では当たり前となった電子申告運用開始の取組や、企業防衛マスターズ会員への昇格、KFSへの早期取組等は思い出深く、所長と職員の熱意や方向性が一致していたなと感じています。事務所や仕事に対する愛着や誇りも大きく、「働きがい」の面では超優良企業だったと思います。

「働きがい」のある事務所づくりが簡単でないことは、事務所を率いる立場である今となって大いに実感しています。

「働き方改革」とは、“働きやすさ”と“働きがい”の両立を目指す取組みと言われています。労働条件・労働環境の改善はもちろん必要ですが、労働条件がどんなに良くても働きがいのない事務所では離職率も高く、組織を活性化させるためにはやはり“働きがい”のある事務所づくりを目指していきたいと思います。

ちなみに・・・

今年はカレンダーの並び上、お盆休みが9連休の企業が多かったのではないでしょうか。大型連休は嬉しいものですが、その皺寄せも大型です。しかも、この原稿締切日が休み明けの8月19日で、おちおち休んでもいられません。

働き方改革の理想は、休みが増えて労働時間も減る。しかし給与は減らない。ですよね。