インクライン2024.4月号を掲載しました。
開始日:2024.04.01 (月)
「政治資金規正法改正とTKC政経研活動」 TKC近畿京滋政経研究会 幹事長 新見 和也
先日、NHKの国会中継を見た。質問者は、自民党の石破茂代議士。僕が中学ぐらいの頃に子供ながらに見入ってしまった昭和の国会論戦を思い出すような質問であった。大平正芳・渡辺美智 雄・中曽根康弘・大出俊・土井たか子といった面々の予算委員会での論戦は、TVドラマ以上の迫力と質問者の見識の高さを感じさせる質問の内容 で、昔をご存知の方なら答弁に窮し、言質を取られないよう慎重に言葉を選ぼうとする大平総理の「ア~ウ~、・・・・」という流行語にもなった言葉で始まる答弁を思い出されると思う。
TKC政経研の活動の舞台に政治がある。この組織のトップである坂本会長の国会議員への政治活動に末席ながら加えていただく機会があった。政治の世界は生半可でないと、覚悟をもって取り組まれる坂本会長には、その言葉の中に鳥肌が立つような緊張感を感じた。
「体を張ってやりますから」と、昨今話題の政治資金規正法の改正について、野党の党首を含む幹部の議員先生方を前に、TKC政経研からの提言を切々と話されるその姿に会計の専門家としての矜持と政経研トップとしての迫力すら感じられた。
提言は、7項目になるが、冒頭に
1.「政治資金規正法」第9条(会計帳簿の備付け及び記載)において、会計責任者は、「正規の簿記」により、「適時に、正確な会計帳簿」を作成しなければならないものとする。
というものであり、複式簿記の導入、取引の網羅性の確保、優良な電子帳簿の導入、政治資金口座の一本化、登録政治資金監査人の監査対象範囲に収入を含める、報告書の電子申請について提言をしている。
また、併せて、今回の問題で、政治資金収支報告書の訂正を行った議員について、リクルート事件等の前例を踏まえて、次回の国政選挙で該当候補をTKC全国政経研は推薦しない方針となった。(地域政経研の推薦は別)
商法改正・税制改正・電子帳簿保存法・認定支援機関と様々な制度改正について会計・税法の専門家のとしての提言・要望をTKC政経研は与野党の衆参議員と意見交換を行いながら実現させてきた。個人的には現在進行形の提言である電子帳簿保存法の改正についての提言は重要だと思っている。昨年のインクラインの冒頭文にも書いたように刑事訴訟法323条の商業帳簿の証拠の能力という観点から、トレーサビリティが確保されていない電子帳簿を規定する現行の電子帳簿保存法は、速やかに改正の必要があると思っている。今回の政治資金規正法改正について、我々が提言した優良な電子帳簿の導入は、まさに的を得た提言だと思っている。今後の法改正の行方を注視していきたい。
冒頭に紹介した石破茂代議士の予算委員会での質問は、令和6年2月26日にあり、昭和11年の二二六事件の話から民主主義と文民統制、ご聖断について話し始め、質問へと移っていった。
昭和の労働組合活動や市民活動から、たたき上げで議員になった野党議員と閣僚との国会での論戦は、週刊誌の記事を引用するような現在の予算委員会の議論の風景とは、隔世の感すらある。
議員会館を歩く坂本会長の背中を見ていたら、気骨のある昭和の議員の姿を感じたりするのは私だけであろうか。しっかり自分の任期の間は支えていきたい。
末尾になりましたが、令和6年2月4日に実施されました京都市長選におきまして、TKC近畿京滋政経研究会で推薦いたしました松井幸治候補が、当選いたしました。ご協力いただきました会員先生方に御礼申し上げます。
また、今後とも政経研の活動にご理解とご協力をお願い申し上げます。